高受偏差値=中受偏差値+10は本当か

 寒くなりました。北海道では吹雪とのこと。そして全国的には冬だがホット(?)な選挙への突入です。

 今回、書いた後に見てみると長いので、興味がある方だけどうぞ。

 以前からずっと以下のように言われていることは感覚的にはそのように思えるのだけれど、本当かなとの疑問もあり、ちょっとできる範囲で検証してみました。

1.神奈川では、中学受験で高偏差値層がどっと抜けるので、高校入試の
  偏差値は、各高校の実力に比べて高い偏差値になる。
2.高校入試がない私立中高一貫校に高校入試があると仮定すると、その
  偏差値は中受時の偏差値に比べて10程度は上になる。

 検証は以下のように行いました。大前提として、神奈川県を対象にしています。
①小学6年生全体に学力テストを施したとして、その結果が正規分布になると仮定する。
②そこから中学受験層を差っ引く(=公立中学進学者=高校受験者層を出す)。
③公立中進学者のみで偏差値を割り出し、①における偏差値との変動を検証する。

 上記の他、以下のような条件で検証しています。
・神奈川県の小学生数は、教育委員会資料の平成24年度6年生数より80,000人とします。
・中学受験者数は、同じく教育委員会資料の今年の公立中学校卒業生数約68,000人を使い、上との差から12,000人とします。従って、中学受験はしたけれども結果として公立中学に進んだという子供の数は、中学受験者数には含まれません。(中学受験者数を「延べ」ではなく 「実受験者数」で示すデータが見つかりませんでした。)
・中学受験者層を除く68,000人は全員高校受験をするものとします。
・①で想定した正規分布の一つ一つの要素(ある小学生)は、高校受験までずっとその学力を保つものとします。
・中学受験層は、小学生全体の中での偏差値60を中心とした正規分布をとるものとします。
・ただし、偏差値60を中心とした12,000人の正規分布では、偏差値75以上で、全体(80,000人)における当該偏差値の人数を超えてしまうので、最初に全体の人数の半分を超える偏差値68以上では、各偏差値の全体の人数の半数が中受の人数とする補正をしています。
・更に、上の補正により中学受験者数が減ってしまうことになるので、その減少分約1,000人を再度偏差値60を中心とする正規分布にして各偏差値の人数に上乗せしています。
・偏差値16以下と84以上は切り捨てています。このレベルになると今回の検証にはほとんど影響はないと思います。

 こうして全体および中学受験層の偏差値毎分布をグラフにしたものが以下のものです。
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 上のグラフから中学受験層を除外し高校受験層のみのグラフは以下のとおりです。パッと見正規分布に近い感じでよくわからないかもしれませんが、山の頂上の左右を比べると、右の方、特に偏差値55くらいから右でグラフの傾きが大きくなっています。
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 今度は、中学受験層・非受験層(高校受験層)のそれぞれで偏差値を出し、小学生全体での偏差値からどのように変化するかを表にまとめたものです。
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 見方は、小学生全体の中での偏差値が55であった子供は、中学受験層の中での偏差値は8.9下がって46.1になるが、中学受験せずに高校受験に臨む場合の偏差値(高校受験層内偏差値)は1.9上がって56.9になる、というものです。

 私がこれを見て最初に思ったのは、中受で高偏差値層が抜けたからと行って、高受層の中の更に高偏差値層の偏差値が思っていたほど大きく上がる訳ではないんだな、ということです。もちろん、70だった子が72.9に3近く上げるのは大変なのですが、これをやる前はもっと、5くらいは上がるのではないかと思っていたのです。そういう意味では、神奈川公立高校でも翠嵐や湘南などのトップ校については、中受はしなかった(あるいは失敗した)が、もともとかなり優秀な層しか入れない(中受で高偏差値層が抜けたから入れるようになった訳ではない)学校だということが言えます。

 ただ、翠嵐・湘南の偏差値73(高校受験スタディより)に相当する中受偏差値63~64は海城や浅野の偏差値(四谷大塚より)ですから、大学合格実績とういう出口で言うと、かなり差がついてしまっています。高校受験偏差値60以下でも以下のようになります。

 高受偏差値  県立高校    中受偏差値   私立中学
  60程度    大磯・座間等   49~50    青稜・獨協・順天等
  50程度    霧ケ丘・旭等   39程度     横浜・横須賀学院等

 それぞれの大学合格実績を見てもらえれば、その差の大きさにびっくりするかもしれません。中受偏差値と高受偏差値を出口からみた場合の差は、10では納まらず、15~20くらいでフィット感があるのかもしれません。私は中受受験層の中心を全体の偏差値60としましたが、実は65くらいが中心の更に高偏差値層である可能性もあると考えられます。

 また、今回検証しようと考えたきっかけ・検証の目的とは異なりますが、やってみて強く思ったのは、大学合格という出口から見た場合、やはり高校受験なく大学受験に向けて一貫したカリキュラムで学習する中高一貫校へ通うメリットは非常に大きいということです。


 最後に。この検証はあくまでも、ザックリと傾向というかアウトラインというかそういうものが見えればいいなと思ってやったものですので、中高一貫私立と言っても高入組が大学合格実績を稼いでいるかもしれないなどという複雑にさせる要素はあえて切り落としています。また、中学受験させるか、公立中から高校受験させるか、それは各家庭の考えによるものであり、私は決して中学受験の方が良いとお勧めするものではありません。

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この記事へのコメント

アンダンテ
2012年11月28日 22:48
なるほど、こうやって計算したのですね~
私も前に、中高の偏差値を比較する記事を書いたことがあったような気がしたのですが、単に、中学と高校の両方で募集する学校の偏差値を見比べただけでした(^^;;
http://dandanto.exblog.jp/15045441/
これは、中学受験を宣伝するための怪しげなパンフレットにあった比較表で、中学受験偏差値は日能研、高校受験偏差値は「晶文社「高校受験案内」掲載の都標準偏差値」というそりゃ差が出るだろうというものです。

個人的な感触ですが、日能研の中学受験偏差値と市進の高校受験偏差値で比べれば、同じ資質の子がプラス6くらいになるかなと。
2012年11月29日 23:23
アンダンテさん、お久しぶりです。

これをやるにあたって一番難しいのは、中受層の分布をどう推定するか、ですね。本文に書いたとおり、中心を60とすれば、中受・高受間の差はおおよそ10になるし、中心を65にすればおそらくその差は15に近くなるでしょう。
分布形も、正規分布に近い形としてますが、50だとか45だとかより下は中受層にはいない、と仮定することもできると思います。
四谷あたりで、全国統一小学生テストの受験生を高受までずっと追っかけていくとかなり面白いと思うのですが、やってくれないでしょうかね。

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